大企業と中小企業の倒産
総務省が発表している中小企業の数は2009年度に420万社でした。2012年度には385万社に減少しています。わずか3年のあいだに35万社の中小企業が倒産しているのです。35万社という数はどのくらいか想像できますか。日本のコンビニエンスストアは約5万店舗、美容室は約23万店舗と言われています。たった3年ですべてのコンビニと美容室が消えてしまったのと同じです。
一方大企業はどうでしょう。2009年度から2012年度の間に証券取引所の基準が変わり、多くの企業が参入してきたため単純に比較することはできませんが、同じ3年間で大企業の数は増えているのです。
2009年にはリーマンショックが、2011年には東日本大震災があったにもかかわらず、上場企業の景気はここ2年間で回復しています。国内総生産(GDP)がマイナスになったことで安倍政権の責任を問う声が上がっていますが、上場企業だけで統計を取った場合の結果はプラスであるはずです。つまりダメージを受けているのは中小企業と一般消費者だということなのです。
大企業と中小企業、一口に「倒産」と言っても中身は同じではありません。例えば信用を失って大企業が倒産したとします。しかしその企業の顧客や従業員、ビジネスモデルのほとんどは維持されます。別の企業が吸収する、経営陣が変わる、出資が変わるなどの変化が起きるだけで、その中身は倒産前とほとんど変わらないのが大企業の実際です。
一方中小企業が倒産した場合、そもそも従業員の受け皿がありません。従業員は一瞬にして行き場を失ってしまうのです。
同じ「倒産」なのに一方の従業員は行き場を失って路頭に迷い、もう一方は環境が変わるのみ。こんなことがなぜ起きるのか。これは企業が持っている仕組みの違いだと考えられます。仕組みの違いは倒産しない会社作りにもつながります。