経営者の仕事は何か
経営者は「何のためにその仕事をしているのか」という目的を発信することが大切です。従業員も目的を持って企業を選ばなければなりません。目的が一致した経営者と従業員は同じ方向を向いて進むことができます。
しかし目的でなく手段に共感して仕事を選んだ従業員がいるとします。今まで社長は「売り上げなんて細かいことまで気にしなくていいんだよ」と言っていました。その手段に共感した従業員は満足して働いています。あるとき世の中の変動によって社長が売り上げのノルマをこと細かに指示するようになりました。すると「こんなことは望んでいない」と従業員は不満になるでしょう。
このようなズレが生じるのは「目的」でなく「手段」で企業を選ぶからです。企業と従業員の「目的」が一致していれば「手段」が変化してもズレは生じません。
自分が慣れ親しんだ分野を選ぶべきかという質問をよく受けます。例えば焼き肉屋で働いたこともない人が焼き肉屋を経営するのは不利かどうか。
勝手が分かっているほうがいいこともあるでしょう。しかしそれよりも重要なのは、経営者が経営者としてやるべき仕事を理解していることです。自分が焼き肉について詳しいかどうかはそれほど重要ではありません。飲食店としてのサービスや肉の品質管理、店内の内装など、それぞれの分野を誰に任せるのかを決定するのが経営者です。経営者に必要なのは牛肉の選定ではなく会社の経営なのです。