経営者は何に全エネルギーを注ぐべきか
ウサイン・ボルトと私が100メートル競争をしたら結果は言うまでもないでしょう。当然です。ウサイン・ボルトは100メートルをいかに速く走るかに人生をかけているのですから。
人間がもともと備え持っているエネルギーはみんな同じだと思うのです。違うのは「何をするか」です。筋肉を付けたければ筋トレをしなければいけません。速く走りたかったら毎日走らなければいけません。
何をするかを決める理由や決めるまでの過程はさまざまでしょう。こうしたい、こうなりたい、などの願望のレベルもいろいろあります。「お金を稼ぎたいですか」と聞けばほとんどの人が「そりゃお金は多い方がいい」と思うでしょう。よれよれのスーツよりは仕立てられた新品のスーツがいい、かっこわるいよりはかっこいい方がいい、狭いアパートよりは広い一軒家に住みたい……。でもこれらの願望の強さレベルはみんな違うのではないでしょうか。
私は昔ミュージシャンを目指していました。そのとき同時に税理士になるという夢もありました。2つの夢を天秤にかけて税理士になることを決めたのです。
目的を達成するためのエネルギー総量はみんな同じだと私は考えています。実現したい目的によってかかる労力と必要なものが違うのです。「並ばないと買えない3000円のケーキ」と「200万円の時計」を例に出せばその意味は分かるのではないかと思います。
欲しいもの、やりたいことが1つの人と10ある人がいるとします。トータルでかけられるエネルギーや時間は全員同じです。そう考えると10の夢にエネルギーを分散させている人は1つの夢のために必死になっている人にはかなわないのです。
どこを目指すかによってかかるエネルギーと時間は必然的に違ってきます。地域で1番、日本で1番、世界で1番……。この先はもう言わなくてもお分かりだと思います。