美容室経営とランチェスター戦略(2)
カット1000円などの安売りの店でも、客単価が1万円を超える店でも、夫婦でやっている小規模な店でも、利益を出している店はあります。
どうしたら成長し続けて利益を増やす美容室を経営できるのか。考え方の基本となるのが「ランチェスター戦略」です。詳しいことは本などで勉強していただきたいのですが、簡単に説明します。
もともとは戦争において弱者が強者に勝つための戦略として生まれました。刀と弓で戦っていたころ、1万人の兵士を持つ軍と5000人の兵士を持つ軍がぶつかり合えば、よほどのことがない限り1万人の兵士を持つ軍が勝つに決まっています。勝った軍は単純計算で5000人の兵士が生き残ります。
マシンガンで戦う時代に、1万人と5000人で戦ったとします。勝った1万人の軍のうち9000人以上が生き残るのです。一度に何発も撃つマシンガンを駆使する場合、戦い方が1対1ではないからです。真っ向勝負では弱者は強者に必ず負けます。
ここで言う「強者」は経営で言うと資金や資本、従業員数、店舗数の多い企業や全国展開をしている企業、全体のシェアを最も占めている企業のことです。「弱者」はそれ以外の企業のことです。経営においても大資本が圧倒的に有利であることは同じです。
真っ向勝負では勝てない弱者が勝てる方法は、1対1で戦う状況をつくる、またはゲリラ戦を繰り返すことです。これを美容室経営に当てはめると、その地域で一番と言える部分をつくることです。どんな小さなジャンルでも構いません。はじめは何丁目単位の小さな範囲でも構いません。ほかの美容室には決して負けないと言える武器を持ち、実績をつくります。そして少しずつ範囲を広げていくことです。このように、美容室経営とランチェスター戦略は相性がいいのです。