中小企業経営者は「会社の目的」を公私混同してはいけない
中小企業の経営者は会社を自分の目的達成のための器として考えていることが非常に多いのです。個人の価値観や欲望などが会社の目的に含まれているので、それを次の経営者に引き継ごうとすると無理が生じてしまいます。経営者の個人的なものを含まないきちんとした会社の目的があれば別の業界に進むこともできるでしょう。しかし創業者の感情や価値観が会社の目的と区別されていなければ次の世代は創業者を超えることはできません。
新しいものを創り出そうとする創業者のエネルギーは大企業も中小企業も変わらないと思います。月に向かうロケットに例えると、創業者は燃料タンクであるべきです。目的はロケットを月に飛ばすことであって創業者を月に連れて行くことではありません。
人間は成長、発達、衰退していく生き物です。時間とともに肉体も精神もやがて衰えます。
一方企業に年齢はありません。すべての企業が足並みを揃えて5年で規模2倍、10年でさらに2倍というように成長していくわけではないのです。そして企業には寿命などありません。衰えてはいけないのです。イタリアのサグラダ・ファミリアのように、設計者であるガウディが死んでも後世の人たちの手で作り続けられるものであるべきです。企業の目的とは時間軸のないもの、何年かかってもやり遂げたいことである必要があります。
経営者は自分が衰えることを考慮し、限られた時間の中で自分がどこまでしたいのかという経営者の目的を立てるべきです。