近年は、「CSR(企業の社会的責任)」に取り組む企業も増えてきました。とても素晴らしいことですし、私たちも積極的に取り組む必要があります。一方で私たち企業は経済活動を行ううえで様々な社会課題を生み出しうる存在でもあります。商品やサービスを提供する過程で過剰な環境負荷を与えていたり、社員に対して不当な雇用を強いていたり、法令やコンプライアンス、モラルを軽視した事業活動を行うなど自分の子どもにさえ胸を張って誇れない企業では、どれだけCSRやSDGsを唱えていても存在そのものが社会にとって害悪を与えかねません。
私たちが生活しているこの社会は、特定の誰かによって創られたものではなく、社会に関わるあらゆる人たち(ステークホルダー)がお互いに支え合い、補い合う(エンパワーメント)することで成り立っています。持続可能な地域社会を実現するために、私たち企業が行うべきことは、まず私たち自身が社会の一員としての自覚をもって「地域課題や社会課題をこれ以上生み出さないように企業努力をすること(守りのCSR)」、事業を通じて自らが関わる地域社会の課題が縮小・解消されるサスティナブル・カンパニー(持続可能な企業)」とは「社会に貢献する」という形から、さらに踏み込み「本業を通じて社会課題の解決をする企業」をいいます。「社会問題」と「社会課題」の違いは、社会問題とは、環境問題や雇用問題のように、問題があることは分かっているのだけど、何をすれば解消するのかが、広義すぎて抽象的になっている状態をいいます。これに対して社会課題とは、CO2や排ガスをどうやって減らしていくか、障がい者が働きやすい環境をどうつくるか、地方の人口と雇用機会をどうやって増やすか、いじめや自殺者をどうやって減らしていくか、まだ解決されていないが、解消に向けての具体取組みが計画可能な状態をいいます。
「サスティナブル・カンパニー」は、提供する商品やサービスそのものが社会課題の解消に貢献するため、社会から強く必要とされるようになり、その結果、事業が継続し、次世代へ引き継がれていきます。これは京都産業大学の大室悦賀教授が提唱している、これからの社会の在り方であり、エンパワージャパンの想いにも共感する概念です。このような中小企業が増えていくことを強く望むとともに、私たちも「サスティナブル・カンパニー」になるべく研鑽してまいります。